アウトサイダー

その日は、彬さんが海外出張から帰る日だった。


彼が帰ってくるまでに、気持ちの整理をつけるつもりだったのに、ドンドン太陽の存在が自分の中で大きくなっているのがわかる。


それでも……私は現在(いま)を生きている。
太陽ではなく、彬さんの隣で。



「もうすぐつくから」


久しぶりの帰るコールが鳴った時、それでも私の胸は飛び跳ねた。
太陽を胸に抱いていても、やっぱり彬さんが帰ってくるのはうれしかった。


「おかえりなさい」


玄関のチャイムが鳴った瞬間、私は飛んで行って慌ててカギを開けた。


「ただいま、紗知」


この匂い。
2週間合わなかっただけで、こんなに懐かしく感じる。


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