アウトサイダー
彼は私を抱き寄せると、唇にそっとキスをする。
もうこんな光景も、日常の一部分として当たり前になっていた。
「会いたかったよ、紗知」
「私も――」
きっと、それは嘘ではない。
彬さんがこうしていてくれると、ひとりでは寂しすぎる家もパッと明るくなるのだ。
久しぶりだと思って用意した和食は、思いのほか彬さんを喜ばせた。
「やっぱり日本がいいな」
「食事が慣れてるからじゃない?」
「違うな。紗知がいるからだ」
そんな言葉もうれしかった。
私は、はしゃいだ。自分でも少しおかしいと思うほどに。
ここが私の場所だと、自分に言い聞かせるように――。