アウトサイダー
勿論父には一切の居場所を伝えることなく、知られないように細心の注意を払われ……だけど、随分遠くまで来た。
何の土地勘もなく、誰一人として知らないこの場所へ。
このアパートも、全員が私たちと同じような境遇から逃げてきた人だと知ったのは、それから数日後。
初めて太陽に会った日の事だった。
あれからずっと部屋に籠っていた私。
母が職探しのために出ていた時、ベランダに出て、ボーっと空を見上げていた。
「お前、どこから来たの?」
突然の声に驚いてその方向に目を向けると、隣の部屋のベランダから顔をのぞかせている男。