アウトサイダー
ずっと隠れていたい。
そんな気持ちを押し殺して、トイレを出る。
比較的大きなカフェは人で溢れかえっていて、ランチタイムだからか、人がひっきりなしに出入りしていた。
「えっ……」
突然つかまれた手首に驚いて顔をあげると……
「紗知」
低くお腹に響くような声。
懐かしい、あの声。
「太陽……」
「お前、どうして……言わなかった」
「えっ?」
「この仕事、してること」
そう。彼に会ったとき、OLをしていると嘘を吐いた私。
知られたくなかった。
彼との夢を、私も追いかけているなんて……。