アウトサイダー
「大丈夫だ。
今回は長くかかる仕事だし、それまでに紗知だってドンドンできることが増えるはずだ」
「はい、頑張ります」
永沢さんの運転する車の助手席で、流れていく景色に目をやる。
「それにしても……篠川君は変わってるな。
大きな建物より、普通の家を造りたいって。
普通建築士になったら、そういうのをこぞって狙うのに。
大きな建物に携われば、名も売れる。
そうすれば仕事もあっちからやってくる。
珍しい男だよなー」
永沢さんのその言葉に、上手く返事を返せない。
だって私は……太陽が家を造りたいという事の裏にある思いを、わかりすぎるほどわかっているから。