アウトサイダー
彬さんは、まだ戻っていなかった。
明かりの灯らない部屋に安堵するのは、やっぱり私の気持ちが太陽に向いているからなのだろうか。
そのまま明かりをつけることなく、ソファーに座り込んだ。
このソファーは、永沢さんのつてで、安く変えた逸品。
インテリアの仕事をする私に、彬さんが選ばせてくれたものだった。
暗闇の中で、太陽の顔を思い浮かべる。
あの頃より大人びた顔。
真っ黒に日焼けしていた彼も、その面影は無くなっていた。
だけど……やっぱり彼は彼だったんだ。
『もっと乱れてみせろよ』
強い口調だったけれど、あんなに悲しげな彼の声は初めて聞いた。
手首には、未だ彼の少し汗ばんだ手の感覚がこびりついている。