アウトサイダー
「紗知?」
着替えもせずボーッと座り込んでいた私は、彬さんが帰ってきたのにも気がつかなかった。
「あっ、お帰りなさい」
「もう、寝てると思った。どうかしたのか?」
パチンとつけられた明かりは、私を現実に引き戻した。
「ううん。ごめんなさい。ちょっと疲れちゃっただけ」
ほんのりお酒の匂いのする彼から、背広を受け取ってハンガーにかけた。
「大丈夫か? 仕事、忙しいのか?」
「ううん、大丈夫。彬さんこそ、お疲れ様」
こんな風に優しく労わってくれる彼が好き。
優しい声で私を呼ぶ彼が……。