アウトサイダー
「あのっ、これ……」
「これは、私が描いたものです。
斉藤が気に入ってくれて、今度の住宅地に採用すると言ってもらえて」
「すごい!」
思わず飛び出した自分の大きな声に驚いて、慌てて口を手で押さえる。
「でも、断りました」
「えっ?」
「これは、俺にとっては大切な家。
ずっと昔に、一緒に住もうと約束した人のために描いた図面」
太陽は、はっきりそう言った。
私の目を強い力で見つめながら……。
全身に鳥肌が立つ。
私の?
私のために?
私が忘れられなかったように、彼もあの約束をずっと胸にしまっておいてくれたんだ。
未だ鞄にしまってあるキーホルダーにつけるはずの鍵は、この家の――。