アウトサイダー
湯気の立つパスタに、手を付けることができない。
とてもなにかを食べる気分にはなれなくて。
「紗知?」
そう私の名を呼ぶ永沢さんが、一瞬太陽に見えてしまう。
「はい」
少し困った顔をした彼は、私をじっと見つめたままなにかを考え始めて……。
「過去のあれこれを詮索するつもりなんて少しもない。
だけど、紗知が苦しそうだったから。
紗知が大丈夫なら、なにも言わない。
ただ、知っておいてほしい。俺は紗知の味方だ」
「永沢さん……」
「なんて、大切なインテリアプランナーを手放したくないだけだったりして」
そんな風におどけて、彼は私にパスタの皿を差しだす。
「とりあえず、食え。午後からこき使う予定だから」
永沢さんにそう言われて、私はパスタの半分を胃に流し込んだ。