アウトサイダー

それからしばらく、太陽に会うことはなかった。

例の住宅地の仕事も、いずれは永沢さんと斉藤さんで話し合いがもたれるはずだけれど、とりあえず別々の設計で、それぞれ個性を出すということで。


仕事が忙しくなって、彬さんの方が先に帰ることもしばしばだった。


「ごめんなさい、遅くなりました」

「紗知、お帰り」


慌てて食事の支度をしようとすると、彬さんもやってきて手伝ってくれる。

こんなに優しい彼に、なんの不満もない。
それどころか、こんな私を大切に思ってくれる彼に、申し訳ないくらいだ。



< 237 / 576 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop