アウトサイダー
「先日は……お邪魔しました」
「いえ。斉藤が池森さんの噂ばかりしているんですよ。
是非またいらしてください。
池森さんの彼ですか? 素敵な方ですね」
「彬さん。こちら、取引のある事務所の……」
彬さんに百合さんを紹介すると、彬さんは丁寧にあいさつをしてくれる。
「紗知がお世話になります」
そう言われるとなんだかくすぐったくて。
「百合さん、よくこちらに?」
「えぇ、母がよく利用していて」
百合さんは私たちとは違うんだ。
無意識にそんなことを考えてしまった。
そして、そんな卑屈な自分がとても嫌だった。