アウトサイダー

「それでは」


それからどんな会話が交わされたのか、あまり記憶にない。

私と彬さん、太陽と百合さん。
ごく当たり前の組み合わせにわかれて、その場を去った。


「紗知?」

「ん?」

「どうかした?」


彬さんのそんな言葉に、小さく首を横に振るしかない。

百合さんは、本当に楽しそうだった。
太陽の腕に手をまわして、可愛らしい笑顔を振りまいて。


「彬さん、帰ろ? 美味しい御飯作るから」

「おっ、楽しみ」


それから不自然なほどに明るく振る舞った。
そうしていなければ、たちまち気持ちが溢れ出してしまいそうで。



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