アウトサイダー
嘘
「あのっ、永沢さん」
「ん? どうした?」
午前中の凄まじい忙しさが一息ついたとき、私は思い切って口を開いた。
オフィスに残っていた皆が、お昼に出たのを見計らって。
「あのっ…...」
私の顔をチラッと見た彼は、開いていた商談用の部屋に私を連れて行った。
「どうしたんだ。顔が真っ青だ」
「あの、私……」
どうしても言わなくてはならないのだろうか。
ずっとそれだけを夢見てきた私には、自分で断ち切る勇気がない。
もう、なにも無くなってしまう気がして。
だけど、そうしなければ……。