アウトサイダー
「仕事を、辞めさせてください」
やっとのことで声を絞り出した時、涙がポロッとこぼれてしまって、慌てて拭った。
「紗知、どうした?」
「いえ。すみません。辞めさせて、ください」
私は震えながらもう一度その言葉を口にした。
「彼氏か? 彼氏が辞めろと言っているのか?」
少し前に、結婚の報告はしていた。
だけど、仕事は辞めないと言ったばかりだったのに。
「いえ、私の意志です。すみません、ご迷惑を……」
はぁーっと大きく息を吐き出した永沢さんは、自分の髪をグチャッとかきむしった。