アウトサイダー
「そのまま夫婦を続けることだってできたかもしれない。
だけど、それは拷問に近い」
彼が言葉を選びながら諭すように話すのを、目を閉じて聞いてた。
溢れてきてしまう涙を、自分の意志ではどうしても止められない。
「紗知、お前は最初からあきらめるのか?
そんな人生、幸せなのか?
そんな辛そうなお前を見るのは嫌だ。
それなら俺が……」
私はいつの間にか、彼の腕の中にいた。
「俺が」の後に続く言葉はなんだったのか。
だけど、今は彼の温もりが私の凍りついた心を懸命に温めてくれていて、私はそれにすがりつきたくなってしまう。