アウトサイダー

永沢さんが私を連れて行ったのは、自分のマンションだった。

太陽に連れられて、彼の部屋に行ったことを思い出して躊躇すると、「なにもしないから」と笑う彼に、私は頷いていた。


「なに、飲む?」

「えっと……」

「紗知は紅茶だろ?」


驚いた。
彬さんと付き合いだしてから彼がコーヒー党なのもあって、ほとんどコーヒーだった。
だから会社でもなんとなくそうすることが多くて、紅茶を淹れることは少なかったのに。

だけど、本当は紅茶が好き。
太陽と飲んだ、ミルクティが。


「お前、コーヒー飲むとき、美味そうじゃないもん」


クスクス笑う彼に、なんだか心が緩む。


「さて、と」


ふたつのカップをテーブルに置いた彼は、私の向かいに座る。


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