アウトサイダー
荷物を置いて再び出てきた永沢さんは、私を無理矢理引っ張って部屋に連れて行く。
「ここ、全然使ってないんだ。
客用の布団もあるし、クローゼットもあるし……とりあえずはこれで我慢してくれ。
足りないものは買い足せばいいから」
私の肩をポンと叩いた永沢さんは、「ほら」と言って私を部屋の真ん中へと誘導した。
「今日から、紗知の部屋」
そう言われても、彬さんの苦痛にゆがんだ顔が頭から離れない。
「紗知、しっかりしろ」
なにも返事を返すこともできない私に、彼は少し大きな声で話しかけると、私の顔を覗き込んだ。