アウトサイダー
ひとり残された部屋で、膝を抱える。
彬さんの悲しそうな顔が、頭からこびりついて離れることがない。
彬さんは『頭を冷やす』と言った。
だけど、本当に悪いのは、私の方だ。
私のせいで……それはあの頃と同じ。
私がいるから……母は耐え続けていたのだ。
私は……こうやって誰かを傷つけて、生きていくんだろうか。
だけど……。
『抱いている女が、他の男の事を考えているなんてな』
永沢さんのあの言葉は、思いのほか私を揺さぶった。
彬さんの事は、好きだ。
だけどそれ以上に好きな人が――。
こんなことで泣くなんて。
辛いのは私じゃない。
私に泣く権利なんて、ない。