アウトサイダー
「あのっ……私、やっぱり」
「紗知。俺、いつも朝はこれだけなんだ。なんか食いに行こうか?」
「えっ?」
あまりに普通に交わされる会話に、少し戸惑う。
ここは私がいるべき場所でないとわかっているけれど、今はどこにも行く場所がない。
彬さんのところから出るなら、部屋を探そう。
いつまでも、永沢さんの好意に甘えているわけには、いかない。
こんなプライベートなことまで、彼に迷惑をかけられない。
結局、彼の言うままに着替えて近所のカフェに出かけた。
出勤前にこうしてふたりで食事をとるなんて、なんだか不思議だ。