アウトサイダー
斉藤さんのその言葉に、私はあの時の太陽を思い出した。
永沢さんがあれを――私が太陽との生活を夢見て描いたスケッチを――Faxしたあの日。
彼は私たちの前に現れた。
太陽は思い出してくれたのだろうか。
ふたりで夢の家庭を空想して過ごした日々を――。
「あ、あとさ、篠川をそっちに行かせたから」
「えっ?」
「池森さんとの共同作業、進めてもらいたいんだ。
多分あのスケッチを見て、篠川も設計し直してるはずだから、他の部屋も相談して?」
「えっ……あのっ」
「こんにちは」
背中越しに、もう太陽の声がした。
「あれ、もう行ったみたいだね。それじゃよろしく」