アウトサイダー
ガチャンと切れた電話の受話器を置くことができない。
まだ、心の準備が……。
ゆっくり3数えてから、私はそれを置いた。
私が受話器を置くころには、もう永沢さんが太陽と話を始めていて。
「紗知、こっち」
「はい」
これは仕事。
だけど、永沢さんになにもかも知られているから、どうしたらいいのかわからない。
慌てて立ち上がって商談用の部屋に入ると、太陽の位置が近い。
彼は素知らぬ顔で永沢さんと会話を交わし、図面を広げ始めていた。
「池森さん、あのイメージパース見ました」
太陽が入り口に立ちつくす私に、視線を合わせてそう口にした。