アウトサイダー

イメージパースというのは、部屋をイメージして床や壁の素材の色、そしてそれに合うと思われる家具の種類を立体的に描いたものだ。


だけど、あれは……勝手に私が思い描いていた理想の部屋を描いただけで、その家主となる人のことを考えて描いたわけじゃなくて……。



「すみません、あれは忘れてください」

「どうして?」

「あれは……私の勝手な妄想です」


そう言ったとき、太陽は一瞬視線を逸らした。

妄想――そう、あの頃に欲しくてたまらなかった温かい家庭を描いた妄想。
今まで私を支えてくれた唯一の……希望だったもの。




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