アウトサイダー
「紗知はほんとに料理が上手いんだな」
「いえ。母とふたりでしたから、自然と作る機会も多くて」
テーブルに並べたのは、洋食。
チーズリゾットとチキンのハーブ焼きと温野菜のサラダ。
永沢さんが、今日のお昼に和食を食べているのを見たからだ。
「こんなに旨い飯を毎日食えたら幸せだろうな」
「いえ……」
ふっと笑った彼は、優しく私を見つめた。
「紗知、あのさ」
「――はい」
突然声のトーンが低くなったことに気がついた私は、一瞬フォークを止める。
「あの彼氏……千島くんだっけ?」
「はい」
完全にフォークを皿に置く。
永沢さんもまた、そうしたから。