アウトサイダー
「行くぞ?」
少し前まで彬さんと一緒に生活していた部屋を見上げると、電気が煌々と灯っているのがわかる。
きっと、彬さんも早めに帰ってきてくれたに違いない。
永沢さんは、私に先だってチャイムを鳴らす。
すると、すぐに返事がかえってきて、私たちは部屋へと導かれた。
「お時間をいただいて、ありがとうございます」
丁寧な言葉で最初に口を開いたのは、永沢さんだった。
奇妙なほどに落ち着き払った彬さんは、私の顔を一瞬見つめて「どうぞ」と私たちをリビングに促す。
リビングは私が出て行った時のまま、きれいに保たれていた。