アウトサイダー
救いの手
彬さんが会社に行ってしまうと、すべての連絡手段を取り上げられた私は、部屋で震えていることしかできなかった。
携帯は目の前で壊され、家の電話も解約されて……ドアホンの線もナイフで切られた。
もう、無気力だった。
どうせ逃げることなんてできないのだ。
彼はきっと、どこまででも私を追ってくるだろう。
だって、私が悪いのだから、仕方がない。
リビングの片隅で膝を抱えてぼーっとしていると、「カタン」となにか物音がした。
だけど、立ち上がる気力すらなくなっていた私は、一瞬音のした方に顔を向けただけで、再び視線を床に戻した。