アウトサイダー
「お母さん……」
思わずそうつぶやくと、母が太陽の横から身を乗り出す。
「紗知、鍵を開けなさい。今すぐに。早く!」
母の言葉で私の足は動き出した。
部屋を出てエレベーターに乗り、エントランスへ。
靴を履くことことすら忘れていた。
彬さんに軟禁されて、何日が過ぎたのかすらもうわからなくなってしまった。
何日過ぎたかを数えたところで、なにが起こるわけでもないと諦めていたから。
エントランスについたのと同時に、永沢さんと母が走り込んできた。
「紗知!」
私の顔を見た母は、一瞬で真っ青になる。
それはそうだ。
腫れた頬、切れた唇。
どう見たって……。