アウトサイダー

「お母さん……」


思わずそうつぶやくと、母が太陽の横から身を乗り出す。


「紗知、鍵を開けなさい。今すぐに。早く!」


母の言葉で私の足は動き出した。

部屋を出てエレベーターに乗り、エントランスへ。
靴を履くことことすら忘れていた。


彬さんに軟禁されて、何日が過ぎたのかすらもうわからなくなってしまった。
何日過ぎたかを数えたところで、なにが起こるわけでもないと諦めていたから。


エントランスについたのと同時に、永沢さんと母が走り込んできた。


「紗知!」


私の顔を見た母は、一瞬で真っ青になる。

それはそうだ。
腫れた頬、切れた唇。

どう見たって……。




< 395 / 576 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop