アウトサイダー
「お母さん、行きましょう。見つからないうちに、急いで」
「永沢、さん?」
後ろにいた永沢さんが私たちを急かす。
「紗知、踏ん張れ」
彼が私の手を引いて、エントランスから外へ出す。
「私……」
「これでいいんだ。お前が耐える必要はひとつもない」
「でも、私が……私が悪いの」
「俺と付き合っているのは嘘だろう?
千島くんから引きはなそうととっさについた嘘が、こんな方向に行くとは思わなかった。
俺が甘かったよ。本当にすまない」
助けに、来てくれたの?
彼は必ず助けると去って行った。
けれど、そんなこともうありえないと思っていたのに。