アウトサイダー

「遅くなってごめんな。
千島くんがいない時間を見計らって何度も来たんだが、何度インターホンを押しても応答がなくて。
最初はここにはいないのかもしれないと思った。
だから、実は探偵を雇って調べたんだ」


そんなことまで……。


「だけど、千島くんはここと会社の往復しかしていないし……インターホンの電源が落とされているんじゃないかって。
そんな簡単なことに気がつかなくて。くそっ」


永沢さんが苛立ちを露わにする。


「紗知、それとお前は病気療養になっている。
だから早く立ち直って戻ってきてくれよな」

「私?」

「そうだよ」


もう失ってしまったと思っていた夢も、まだ永沢さんの手でつなぎとめられていたことを知って、ひどく驚く。


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