アウトサイダー
こんなに多くの人がいるのに、どうして容易に見つけてしまうのだろう。
街で一番大きな交差点で、見つけてしまったんだ。
あの人の、姿を――。
信号が青になった途端、どっと溢れ出ていく人達。
だけど、私は動けずにいた。
向かい側から歩いてくる人の中に、彼がいたから。
あの頃から変わらないすらっとした体型。
あの頃よりは少しだけ長い髪。
そして、私の唇を貪った、薄い唇。
目が離せなくなってしまった。
立ち止まっている私に軽くぶつかっていく子供。
手には、どこかでもらった赤い風船。
私たちには、そんな幸せ、なかったよね。