アウトサイダー
彼の車は、立派なホテルの地下駐車場で止まった。
「しばらくはここで。
俺の部屋におふたりで来てもらっても構わないけど、それだとすぐに見つかってしまうから」
「お母さんも?」
「もちろんよ。あなたと一緒にどこまでも行くわ」
「コウ、さんは?」
「コウさんよりあなたが大事。
あなたがいればなにもいらない」
そんな母の言葉に俯いて唇を噛みしめる。
「チェックインしてきます」と先に降りて行った永沢さんの背中を見ながら、母に頭を下げた。
「でもお母さん、せっかくコウさんと幸せに……」
「バカね。
あなたが幸せじゃないのに、お母さんが幸せだと思う?」