アウトサイダー
「私のせいで永沢さんに迷惑をおかけしました。本当にごめんな……」
「違うぞ、紗知。
俺はお前が泣くのはつらい。
上司として仕事を失うお前も、好意を寄せる男として、意にそぐわない結婚を承諾するお前も見たくない。
ただ、それだけだ。心配するな」
「でも、私がいなくなったと知ったら、彬さんは……」
真っ先に永沢さんを疑うに違いない。
「俺だって男だぞ? 大丈夫だ」
そんな言葉ひとつで、私の不安を解決しようとしてくれる彼に頭が下がる。
けれど、今は甘えるしかない。
とてもひとりで彬さんと対峙することなんてできない。
もしもまた連れ戻されたら、今度はきっと……。
思わず、彼に絞められた首のあたりをそっと触れる。
私は……こうして生きている。
こんなに心配してくれる人たちのためにも、もう彬さんからは離れなければ。