アウトサイダー
「コウさん……」
永沢さんの計らいでマンションについたときには、コウさんが出迎えてくれて驚いた。
「紗知、すまなかった。
まさか千島に手をあげられるなんて……」
コウさんは、まるで本当の父のように私を抱き寄せてくれた。
こんなふれあいは初めてだったけれど、少しも嫌じゃない。
むしろ、怖かった父との思い出を忘れられるような気がする。
コウさんの温もりが、私の凍りついた心を溶かし始めたのかもしれない。
また、逃亡生活の始まり。
だけど、今度はあの時とは違う。
今は、私を守ってくれる人がたくさんいる。