アウトサイダー
「斉藤の入れ知恵か?」
「いえ、自分の意志で来ました。紗知を返してください」
「返す?
返すもなにも、紗知はもともと篠川くんのものじゃないだろ?」
「いえ……俺の女です。
出会った時からずっと、俺の……」
彼のそんな言葉に、助手席で歯を食いしばる。
そうしていなければ、もう涙をこらえることができなくて。
「覚悟はあるのか?」
「はい」
「命に代えてでも、紗知を守る覚悟だ」
強い永沢さんの言葉で、はっと顔をあげると、フッと笑った太陽はまるで当たり前ですと言わんばかりにうなずいた。