アウトサイダー
あの頃よりずっとたくましくなった体。
ピンと糊のきいたシャツ。
だけど、変わらない彼の温もり。
「どうして? 百合さん……」
「昨日、別れてきた」
「えっ?」
「紗知。お前、永沢さんと……」
「あれは、嘘なの」
彼はそれだけ聞くと、私の手を引っ張って近くに止めてあった車に私を乗せた。
「どこに……」
「俺の部屋」
ドクンと心臓が高鳴る。
けれど、それを断る理由はひとつもなかった。
彼の部屋に来るのはこれが二度目だ。
あの時――太陽の涙を見た時以来。
彼は有無を言わせず私の手首をつかんで中へと入る。
そんな強引さがあの頃の彼を思い出させて、なんだかうれしくなった。