アウトサイダー

「永沢さんが変われって」


私は小さくうなずいて、太陽の携帯を受け取った。


「池森です」

『紗知。忙しいといったはずだが』

「はい。すみません。今すぐ……」

『悔しいが、紗知はもう篠川くんのものだな』


フッと電話口で彼が笑うのがわかる。


「あの、永沢さん……」

『はっきり振るのはよしてくれ。俺もそんなに鈍感じゃないんでな。
だけど、篠川くんがちょっとでも隙を作ればすぐに行くから』


少しおどけたようにそう言葉をかけてくれる永沢さんの優しさに、感謝してもしきれない。


『明日からまたこき使うから、今日は休みだ』

「ありがとう、ございます」

『仕方ない。篠川くんがこんなに熱い男だと思ってなかったよ』


永沢さんはやっぱりクスッと笑った。


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