アウトサイダー

「紗知、昨日の分も頼むぞ」


永沢さんは事務所に入る前に、私にそう告げる。


「はい。ありがとうございます」

「俺はなにもしてないぞ。とりあえずこき使うから」


あははと笑う彼はドアを開ける。

そんな彼の優しさに甘えっぱなしの私。
私が再びこうして建築に関わることができているのも、太陽と一緒にいられるのも……すべて永沢さんのおかげだ。



一歩中に入ると、殺伐とした雰囲気に圧倒される。

締め切りの迫るものも多く、あのプロジェクトも建築会社や住宅販売会社との打ち合わせが多数入っている。


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