アウトサイダー
「紗知、こっち頼む」
すぐに永沢さんに呼ばれて、プロジェクトの中の一つの住宅の図面を見せられる。
「率直な感想を」
「えっ……私が?」
「あぁ。お前の腕を買っているからな、俺」
そんなことを言われても、永沢さんのように名のある建築家に意見なんて。
「いえ……なにも」
「俺たち位になると、誰もなにも言ってくれないんだ。
だから良くもならない。
言いたいこと言って欲しいんだけど」
彼の言葉にドキッとしながら、その図面を手に取る。
まだ平面の図面を見てイメージを膨らませるのは、私の得意分野だ。