アウトサイダー

「ありがとうございます。
私、幸せがあふれてくるような家に憧れていたんです。
それを造りたい。頑張ります」

「おぉ。期待してる」


永沢さんはとても優しい顔で笑った。


私たちの仕事はあくまで顧客のニーズを聞き出して、それに沿ったインテリアの提案をすることだ。

だけど、どんな家だって、温かい家庭というものが大前提にあるわけで。

そうではなかった私に、よい提案ができるのかどうかと迷った時期だってあった。
だけど、私にはあの頃の空想がある。



「それとこれ、もう一回練り直すから、こっちの資料をまとめておいてくれないか?」

「はい、もちろんです」


永沢さんが私にくれる言葉は、私の過去の傷を癒してくれる。
私が未来へ進む勇気を、くれる……。


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