アウトサイダー
幸せの代償
その日の夕方、私たちが手がけている図面を手直ししたものを持って、太陽が事務所に現れた。
「これ、随分良くなってきたな」
永沢さんが一目見ただけでそう言う。
永沢さんが言うとおり、最初の図面よりずっと洗練されてきたように思う。より、現実的に。
「ありがとうごさいます。ただ、ここが……」
「それは……」
太陽と永沢さんは真剣な目で話し出した。
ふたりから"建築が好き"という強い思いを感じる。
永沢さんの言葉にうなずき、時折図面になにかを書き込んでいる太陽は、もう一人前の建築士だった。
「篠川くん、迎えにきたんだろ?」
「――はい」
小声でそんな会話が交わされて、私が呼ばれた。