アウトサイダー

「紗知、しばらくは早めに上がれ」

「ですが……」

「お前にはやることがある。
どうも篠川くんはフルパワーで仕事を済ませているらしいからな。
残業しないために」

「あのっ……」


太陽がその言葉に驚くと永沢さんは笑う。


「斉藤が、諦めろってくだらない電話をよこしやがった」


斉藤さんが?
すごく驚いたけれど、ふたりの優しさに心が温まる。

特に、永沢さんは……事務所の皆に私との交際宣言までしたというのに、「そのうちなんとかするから心配するな」とまで言ってくれて。


「外観をもう少し検討しろ。
そうだな、もう少し柔らかなイメージで。
紗知、前に描いたイメージあったよな?」

「これですか?」

「あぁ、そうこれ。これ結構いけると思うんだ。
ふたりで相談してこい」


そう仕事を与えてくれるのも、きっと永沢さんの優しさだろう。
仕事をバリバリこなせない私の罪悪感を和らげるために。


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