アウトサイダー
今更どうすることもできない。
もう、彼の事は……。
だって私が……。
私は意を決して歩き始めた。
私とは違って、彼の方は全く気がついている素振りすらない。
大丈夫。素知らぬ顔をしてすれ違えば。
だけど、ドクッと高鳴る鼓動は、私の緊張をさらに煽った。
あと数メートル。
このまま……。
私と彼との間の距離は、人5人分くらいはあった。
私とすれ違うまであと1メートルほど。
そのまま上手くすれ違う、はずだった。
だけど……真直ぐに歩いていた彼が、突然方向を変える。