アウトサイダー

私の病室の前まで来ると、丁度コウさんと母が息を切らせて駆けつけてきた。


「紗知!」

「お母さん……」


目にいっぱいの涙をためた母が私を包み込む。


「ごめん、紗知。連絡させてもらったよ」


永沢さんはそう言うと、「それでは私は」と帰ろうとする。


「永沢さん……ほんとうにありがとうございました」

「いいや、俺はなにも。早く治して復帰してくれよな」


にっこり笑ってみせた彼は、見送りのコウさんと一緒に帰っていった。



母に手伝ってもらってベッドに移ろうとした。

ひどいけがをしているわけではないけれど、体が鉛の様に重くて、自分ひとりではとても体を支えきれない。


< 505 / 576 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop