アウトサイダー
私の病室の前まで来ると、丁度コウさんと母が息を切らせて駆けつけてきた。
「紗知!」
「お母さん……」
目にいっぱいの涙をためた母が私を包み込む。
「ごめん、紗知。連絡させてもらったよ」
永沢さんはそう言うと、「それでは私は」と帰ろうとする。
「永沢さん……ほんとうにありがとうございました」
「いいや、俺はなにも。早く治して復帰してくれよな」
にっこり笑ってみせた彼は、見送りのコウさんと一緒に帰っていった。
母に手伝ってもらってベッドに移ろうとした。
ひどいけがをしているわけではないけれど、体が鉛の様に重くて、自分ひとりではとても体を支えきれない。