アウトサイダー

「紗知、無事で良かった」

「うん。また心配かけちゃった」


今にも涙が溢れそうな母に、申し訳なくなってしまう。


「ううん。親だもの。心配するのは当たり前」

「ありがとう、お母さん」


私にはこんなに温かい愛が降ってくる。


「紗知、太陽くんは……」

「さっき会ってきた。今は眠ってる」


そこにコウさんが戻ってきた。


「紗知、無事で良かった」


あのときからコウさんは、私のことを「紗知」と呼び捨てで呼ぶようになった。
そして、私も……。


「ありがとう。お父さん」


ほっとしたというような顔をしたコウさんは、母を促してパイプいすに腰掛けた。


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