アウトサイダー

「永沢さん、いい人だな」

「うん」

「紗知の周りはいい人がいっぱいだ」


そうなのかもしれない。

ずっと外の世界を遮断して生きてきたような私は、理解者なんて……と思っていた頃もある。

実際、母と太陽しか信じられなかったことだって。


だけど、今は……コウさんだって永沢さんだって、斉藤さんだって……。



「紗知、千島のこと、本当にすまない」


コウさんが突然床に正座して頭を下げる。


「違う。違うよ、お父さん」


その姿に驚いて慌ててベッドを降りようとしたけれど、まだうまく力が入らなくてできなかった。


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