アウトサイダー

「実は、池森さんに引き抜きの話があってね」

「えっ?」


所長の言葉に耳を疑う。


「君はすごくいいセンスの持ち主だし、手放したくはないんだけど、ここでより池森さんの能力を生かせると思うんだ」

「引き抜き?」


そんなこと……ここに来てから表だってインテリアコーディネーターとして仕事をしていたわけではない。
所長の手助けはしたけれど、私の名などどこにも出ていないはずで。


「うちが、引き抜きます」


その時事務所の奥の応接室から顔を出したのは……。


「永沢、さん……」

「紗知、探したぞ」


思わぬ人との再会に、驚きすぎて声も出ない。


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