アウトサイダー
「よかった。お前がまだこの業界にいて。
そうでなければ探せなかったかもしれない」
にっこり笑う永沢さんと、足が震える私。
「話をしよう」と私を連れ出した永沢さんは、自分の車に私を乗せて、近くの公園へと向かった。
パーキングに車を止めると、私の方へと顔を向ける。
「体は大丈夫なのか?」
「はい」
永沢さんは私の大きくなったお腹を愛おしそうに眺めてほほ笑んだ。
私はなにも言えなかった。
私は、一方的に事務所の留守番電話にメッセージを残して、なんの挨拶もなく勝手に消えたのだ。
社会人として、最低。
いや、それより……ずっと私を庇ってくれた永沢さんへの大きな裏切り。
そんな私が永沢さんに合わせる顔なんて――。