アウトサイダー
そして……。
「随分変わっただろ?」
家の前で車を止めた永沢さんは、私にそう言った。
あの日――妊娠が発覚したあの日――はまだ基礎工事の真っ最中で、完成を想像するしかなかった。
けれど……。
永沢さんに促されてゆっくり車を降りた私は、その家を見上げた。
太陽に照らされてピカピカ輝いている大きな窓は、私たちが子供のころから憧れていたものだ。
「入ってみる?」
「えっ、いいんですか?」
「そりゃ、もちろん」
永沢さんが玄関を開けて入っていくのに続いて、私も足を踏み入れる。
ブーンと香る木の匂い。
もうそれだけで涙が溢れて――。