アウトサイダー

「私、太陽に甘えてもいいの?」

「おぉ。子供がふたりってとこだな。任せとけ」


太陽は、彼の言葉に涙する私をゆっくり抱き寄せながら、額にキスを落とす。

こんなに熱心なパパは、きっと私たちを守ってくれる。


「太陽……これにつけていい?」


私は鞄の中からあのキーホルダーを取り出した。


「お前まだこれ……」

「だって宝物だもん」


私の手にあるそのキーホルダーごと私の手を包み込んだ彼は、ほんの少し潤んだ目で私を見つめる。


「紗知、この家に嫁に来てくれないか。
いや、違うな。一生俺の隣で笑っていてくれないか」

「太陽、私……」

「愛してる、紗知」


それから重なった唇は、今までで一番甘くて、しょっぱかった。


< 545 / 576 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop