アウトサイダー
私にも太陽にも、あまり小さな頃の思い出がない。
着の身着のままで逃げ出した私たちには、幼少期の写真が一枚もないからだ。
それなのにこの小さな命を育てられるのかって不安も一杯だったけれど、実際に育ててみてそれは杞憂に終った。
特に太陽は……口には出さないけれど、恐らく自分の血を引いていない光に不安があったのではないかと思う。
でも、どこのパパにも負けないような愛情で光に接してくれている。
「ひかりー! 頼むよ。
お前、拗ねてるんだろ。パパがママを独り占めするの」
「バカね。そんなのまだわかんないわよ」
「いや、光は俺に似て賢いからわかるかもしれないぞ」
そんな太陽の言葉に笑みがこぼれる。