アウトサイダー
「太陽?」
「紗知。俺、今度ここの立て替えの設計を請け負うことになった」
「そうなの? すごいじゃん」
「だけど、無償で」
彼の言葉に首をかしげると、アパートの一室から小学生位の男の子が出ていった。
「あの子、俺たちと同じ」
「えっ?」
「ここ、市のシェルターなんだ」
その時、彼が『無償で』と言った意味がわかった。
「それでさ、斉藤さんに相談したら、他の仕事に支障がなければいいぞって。だけど、ひとりじゃ大変だなってさ。
それでもやりますって言ったんだけど」
「うん」
太陽は私に視線を移して笑う。
「どうしても手伝ってもらえって。紗知に」
「えっ? 私」
太陽は小さく頷いた。